財団の紹介
理事長挨拶

わが国の経済成長の停滞が続く過去30年の間に、世界のグローバルリズムは格段に進展してきました。そこには国境を越えた資本移動による飽くなき経済活動があり、その結果巨大な富の集積と偏在をもたらしてきました。10数年前に地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)が提唱され気候変動の議論が大きくなると、わが国においても近年緑の経済成長が語られてきています。これらの動きは効率性の追求を目指したもので費用対効果を最も重要な指標とし、結果が予見できる事柄が優先される傾向がますます増大してきています。
人が心豊かに暮らし社会が人を取り残さないような持続可能で公正な社会の実現を願うとき、現在を生きるわたしたちの責務は、効率性の物差しでは測れないことに気を配りそれを支援することだと考えます。未来の人間社会がより豊かであるためには食、健康、環境は極めて重要な要素で、それらを包摂する生命科学の発展は必要不可欠です。このような思いから未来を目指して未知なるものを探求する基礎研究を支援し、次世代の研究者を育て、生命科学発展に尽くすため本財団を設立し、人間社会の発展に貢献していきます。